ヘッドハンティングは珍しくありません!
一昔前ではあまり受け入れられていなかった転職。それが今では当たり前の様にCMが流れ、雑誌で取り上げられる様になってきたのはここ5.6年位の話ではないでしょうか。終身雇用が崩壊しつつあり、1つの企業に居続けるという1つの時代が明らかに変化しようとしていて、今後も労働市場は更に変化していくだろうとも言われています。
そんな昨今の活気ある転職市場ですが、多くはエージェントなどに登録をし、コンサルを受け、応募、面接という流れが一般的ではないでしょうか?そんな中、ヘッドハンティングという形での転職も今非常に芽を出してきています。またその形式で採用に積極的な企業があります。外資系生命保険会社です。会社に所属しているマネージャー(以下、所長)が直接的な声掛けや紹介などで候補者を入社まで誘ういう様な転職スタイルが確立しつつあります。
このお誘いがかかる理由や状況は様々で、その結果、え??外資系から声が掛かったの?凄いじゃん!、所長さんスーツパリっとしていてカッコイイ、俺もバシッと稼ぎにいくよ!などの反応があればその反面、良い事しか言ってないイメージが強い、現実は厳しいだろう、なんか胡散臭い!という反応が数多くあるのも事実です。
そうなるとやはり行き着くのは、結局、外資系生命保険会社の所長からのお誘いは本当に信用して大丈夫なのか?という所で、そこに悩んでいる、あるいは悩んでいた候補者さんはかなり多いようです。そこで今日はそんな外資系生命保険会社の所長さんの実情に迫って行きたいと思います。
外資系生命保険会社のマネージャーを信頼しにくい2つの理由
そもそも、私個人としては外資系生命保険会社の所長さん自体はあまりあてにならないと感じています。勿論優秀な方もおられ、今もどこかで活躍されているとは思いますが、それはほんの一握りだと思います。ここではどうしてマネージャーを疑わないといけないのかその2つの理由をまとめました。
固定給+歩合給の報酬形態
これを見た時に、いやいや何がおかしいの?別に普通でしょ?そう思われる方は非常に多いと思います。ただこの報酬形態、普通ではないと感じています。なぜなら、営業マンはこの報酬形態ではないからです。時代の変化はありつつも、多くの外資系生命保険会社の営業マンはフルコミッションと言われる完全歩合制の世界で戦っています。その為、色々な工夫、活動を通して契約を追っています。また無事契約を受注しても、そのお客様の体況によっては契約の引き受けが出来ず、お給料として何も反映されないという可能性も実は秘めています。
つまり営業マンにとっては毎日、毎週、毎月が常に勝負であり本気なのです。だってそうですよね、契約が受注できない、できてももし引き受けが出来ず、それが続けばお給料が無いんですから。大袈裟と思われるかもしれませが、営業マンは皆、独立経営者の意識で仕事をしているんです。そんな中、その世界に誘導した所長は更に奮闘している姿を見せてくれるのか。答えはNOです。
なぜなら上記の様に固定給があるからです。取り立てて、契約を追う必要もないですし、採用に関しても年トータルで1?2人を採用できれば特段すぐに異動させられるという様な事もありません。たまに紹介などで依頼があり契約を受注をした際は歩合給の方に換算されます。そういった形で、毎月必ず固定給がある為、少なくとも生活に困るといった事はまず無いでしょう。その為、営業マンの様に奮闘する必要が正直なところないのです。
更にここに加えて、問題なのがこの+歩合給の部分です。先程挙げた様な契約の受注によって発生する物だけでは実はありません。その対象は何か?採用した営業マンの業績です。これも時代の流れがあり年々変化はしていますが、どのように換算されるのかというと、採用した営業マンが契約を受注します。すると営業マンには一定の手数料が入ります。この手数料の積み重ねが営業マンのお給料と成りますが、実は所長の歩合給にもなるのです。営業マンが受注した手数料の数パーセント(1~3%)が自動的に所長の歩合給としてはいるのです。
なんだそれくらいかと思うかもしれませんが、これが積み重なれば非常に大きなウエイトをしめて行きます。その契約が毎週、毎月、そして×採用人数分、歩合給に入ってくるんです。しかも自動で。この様な仕組みがあるのであれば、そもそも所長も営業マン同様、フルコミッション、完全歩合制の報酬形態にするか、営業マンも同じ様に固定給+歩合給または賞与という報酬形態でないと釣り合わない部分が正直あります。人はその環境によって、意識や行動が明らかに変わっていきます。同じ会社、場所にいて、この様な環境の差を前にした際に、所長の多くはその感覚が麻痺してしまうのではないでしょうか?
所長になるまでの営業期間が短い
上記①の事もあり会社に残ろうと意思決定する営業マンの多くが自発的に所長を目指す様になります。また入社前からその意思で入社する方も中にはいます。それに対して会社も受け入れ態勢は抜群で、ある程度の業績を営業マン時代に残せば、所長試験を受ける事が出来ます。そしてそのほとんどの方がその試験をパスする様に出来ています。入社してからそこまでの流れに行き着くのに早い人で2年、あるいは4年といった具合ではないでしょうか。たったこの年数で所長になるのです。
確かにこれだけの年数で所長になるのは凄いじゃないかという声があるのも事実です。ただ目に見えない、またその商品性から生命保険営業は営業の世界でも一番難しいと声を上げられるのは有名な話です。ではその1番難しいと謳われている保険営業がたった数年で果たして本当にマスターできた上で進んでいるのでしょうか?正直なところ、そこに頑としてYESと言える所長さんは非常に少ないと思います。なぜなら彼らは、営業に疲れた、から所長を目指した人達なのですから。実際にその知識や経験の乏しさからこの人大丈夫かな?よく試験受かったなというような方も正直目の当たりにした経験もあります。
また経験の部分に関して、保険営業の立場として、お客様に保険金を届けるという経験をしている所長が少な過ぎるのも事実です。保険は入って、契約をして終わりではなくそれはあくまでスタートに過ぎません。保険に入る最大の目的(ゴール)は保険金を貰う、届ける事に尽きると考えます。もちろんタイミングの問題はありますが、この経験をするのには普通であれば10年以上の月日はかかります。その間に数多くの経験をし、更に保険金を届けるという行為をして、1人あるいはひと家庭を守り切った方が初めて、採用した営業マンも同じ様に守り切ってあげられるのではないでしょうか?採用される人間も同じ様に家庭があるのですから。
大きく上記の2つの理由から、外資系生命保険会社のマネージャーは直ぐには信用しない方が良いのではないか。これが素直な見解だと感じます。ヘッドハンティングと聞くと確かに聞こえは良いですが、その実情は会社により様々です。もし貴方にその声がかかっているならば、焦らずじっくりと検討するのも1つではないでしょうか。結果はコントロール出来ませんが、選択はコントロールができますので。