実質節税目的の法人保険は転機を迎える
日本生命保険など生命保険各社は13日、節税目的の加入が増えている経営者保険の販売を一時取りやめることを決めた。国税庁が同保険の税務上の取り扱いを見直し、支払った保険料を損金算入できる範囲に制限をかける検討を始めるため。中小企業の節税ニーズをとらえて市場が急拡大してきたが、転機を迎える。
引用元:https://www.nikkei.com/(日本経済新聞)
日本経済新聞の他にも読売新聞、朝日新聞など各新聞社が大きく取り上げています。それほどインパクトの大きいことだと言えます。利益が出ている会社経営者の方であれば一度ぐらいは保険加入を考えたことがあるのではないでしょうか。
私自身も税理士さんなどから勧められたこともあります。ただ、キャッシュを手元に置いておきたかったため加入はしませんでした。保険会社で働いている方もいつかなくなるのではないかと話していました。さすがに内容を考えると経営者に有利すぎますね。
法人向け定期保険って何?
法人向け定期保険は、経営者の死亡に備えたり、役員の退職金の支払いに充てたりすることを目的としています。ポイントは、保険料が全額経費計上できることと返戻率が高いことです。
本来生命保険は被保険者の死亡に備えるものなので、満期前の返戻率を極端に高く設定する必要はありません。返戻率を高くすることで節税効果が生まれているというわけです。
つまり、毎年経費計上分の法人税を減らすことができさらに受取時に退職金などに充てることで保険金を経費計上(法人税軽減)ができるのです。
法人経営者にとってほとんどデメリットのない魅力的な保険だと言えます。ただし、出口をしっかり考えないとただの税金支払の先延ばしになるだけで反対に損をしてしまう可能性があります。
保険会社も節税効果を全面に押し出していた
この法人向け定期保険は日本生命保険が2017年に発売した「プラチナフェニックス」を皮切りに各社が同じような商品を設計し販売していました。うまく税制の隙きを突いた商品だと言えますね。
実際私も保険会社に法人向け保険の提案書を作ってもらいましたが、表面返戻率とは別に”実質返戻率”が記載されていて節税を意識した保険であることがわかります。
- 日本生命保険
- 東京海上日動あんしん
- 損保ジャパン日本興亜ひまわり
- ジブラルタ生命
- プルデンシャル生命
- 三井住友あいおい
- オリックス
- 大同
- ソニー
- メットライフ
- アクサ
- ネオファースト
教訓-極端な節税対策は行わない方が良い!
今回の法人向け定期保険は残念な結果になりました。加入したばかりの方は今後保険料の全額経費計上ができなくなってしまう可能性が高いでしょう。数年間は支払いを続けないと元本割れしてしまうため最悪の結果となりました。
教訓としてやはり極端な節税方法については変わってしまう可能性が高いということを理解しておく必要がありますね。ただこの保険については違法だというわけではありません。現在の税制的には認められていた節税対策です。ただ、国税庁が想定していたものとは異なっていたため今回のような改悪となってしまったのです。
節税対策をする上でその方法が使用できなくなってしまうリスクも考えないとダメですね。特に保険はある程度の期間支払いを続けないと意味がありません。その間に法律が変わってしまうと損をしてしまうこともあります。
それでは今日はここで終わります(^_^)/~